専務に仕事をさせるには
間もなくして車は社の前に到着した。
お礼を言って車を降りようとすると、光永さんに止められた。
光永さんは運転席から降りて傘をさし助手席のドアを開けてくれた。
マンションを出た時より更に雨は酷くなっており私が濡れないように光永さんは気を遣ってくれたのだろう。
なんて紳士な人なんだろう。
しかし、傘を私の方に傾けている為、光永さんの体はずぶ濡れになっている。
「大変!光永さんが!」
私は自分に向けられた傘を光永さんへ向けようとすると傘を持つ光永さんの手に私の手が重なった。
すると、顔がぽっと紅くなる光永さん。
うふふ、可愛い。
光永さんの「僕は大丈夫です」と言う言葉と重なり「何をやってる!」と私の腕を掴む専務の声に驚く。
えっ?
「こいつは誰だ!?」と、鬼の様な形相の専務。
私達の車が着いた時に専務の乗って来たタクシーも着いた様で私達を見るなり駆け寄ったらしい。
専務は傘もささずにずぶ濡れになっていた。
「専務! 何やってるんですか!? ずぶ濡れじゃないですか!? 風邪ひきますよ!?」
私は光永さんにお礼を言い、専務を社屋へ急ぎ連れ入った。