専務に仕事をさせるには
専務の着替えを済ませると紅茶を淹れブランデーを少し垂らす。
そして専務に温まりますよ? と、差し出す。
「リンリンも着替えないと風引くぞ?って言っても着替えないな?」
「私は大丈夫です。 上着が少し濡れただけですから」
私は着ていた上着を脱いで掛けると、専務はリクライニングの椅子に座り私に膝の上においでと言う。
私は素直に専務の膝の上に座り体を預けた。
「なんだ? 今日は素直だな?」
いつもなら断るのだが、今日は七瀬さんご夫婦の仲の良さに当てられたせいなのか専務に触れていたくて素直に専務の膝に座った。
だが、仕事中だと思い直し立ち上がろうとすると、専務は私に腕を回し、今日は誰も来ないから、暫くこのままで良いだろ?という。
専務が結婚したらこんな事出来ないよね…
今度からあなたの膝の上に座る人はどんな人なの?
綺麗な人? 優しい人? 歳は?
名前は? 専務はなんて呼ぶの?…
私には関係ないか…
「リンリンどうした?」
専務は何も言わない私をおかしいと思ったようだ。
「何でもないです。それより、専務は帰って来てしまって良かったんですか?」
「矢野さんは闘病生活が長かったらしく、奥さんは覚悟は出来ていたと気丈に振舞っていたよ。俺は矢野さんの思い出がある訳じゃないし、矢野さんの奥さんに会うのも初めてだからな? 俺が居たらかえって奥さんに気を遣わせる。 お袋は随分可愛がって貰ったらしいから、爺さんと一緒に矢野さんの奥さんと思い出話しをした方がいいさ」
ふ〜ん、専務は専務で気を使ったってことか?
「で、今日見に行った所はどうだった?」
「そうですね? 良い部屋でしたよ? マンション内は勿論ですが、近隣環境も良く素敵でした。 他にも2件ほど内覧に行く予定になってますから、その後専務には資料をお見せしますね」
「俺はリンリンが気にいったならそこでも構わないよ?」
どうして私が気に入れば良いのよ?
そんなのダメに決まってるでしょ!?
「とにかくピックアップは私の方でしますから、その中で専務の気にいる所を改めて内覧に… クッシュン」
「リンリン大丈夫か?」