専務に仕事をさせるには

専務は風邪ひくといけないから家へ送ると言ってくれた。

でも、もう少し一緒に居たい…


「専務…」


「どうした?」


専務の胸に顔をうずめ我儘を言ってみる。


「もう少しだけこのままで…」


専務は優しく包み込む様に私を抱きしめ俺も一緒に居たいと言ってくれた。

しかし、専務は何かを思い出したようですぐ戻るから待ってろと言って専務室を出て行った。

暫くして戻って来た専務の手には以前一緒に行ったショップバックが合った。

専務がショップバックから出してくれた服は以前専務が買ってくれて私が受け取らなかった物。

車に置いてあったんだ?


「リンリン、着替えて帰ろう?」


帰ろう…っか、そうだよね?

専務の予定も聞かずに一緒に居たいなんて、我儘を言っちゃダメだよね…

専務には他に愛する人がいるんだもんね?

秘書の我儘に付き合っていられないよね…

濡れたままの姿では帰さない。せめてもの専務の優しさ。

私は素直に専務から洋服を受け取り着替えを済ませた。

着替えを済ませ専務の元へ行くと専務は電話をしていた。


「いや、今日は戻らない………ああ………明日は行けるから………ああ好きだ…………」


好き?…

もしかして婚約者…

これ以上専務の手を煩わせてはいけない。

専務は窓の外を見て電話をして居たから私には気付いて居ない。

私は専務の背中に頭を下げそっと部屋を出た。

そのまま秘書室に寄らず1階に下りると外は前が見えない程に雨が酷くなっていた。

道路は川のようになっており、これではタクシーも拾えそうに無い。

仕方なく駅まで走ることにした。

傘をさしていたが役に立っておらず、駅についた時には折角着替えた服はずぶ濡れ、パンプスの中は水浸し、そして途中マンホールの穴にはまりパンプスのヒールが折れてしまった。


ああ…この靴、お気に入りだったんだけどな…

今日は最悪な一日になっちゃった…





< 127 / 216 >

この作品をシェア

pagetop