専務に仕事をさせるには

渉に送ってもらい玄関を入ると母が慌てて迎え出てきた。


「あんた、どこ行ってたの? 専務さんがさっき迄待っていたのよ? 何度電話しても出ないからって心配して」


そう?と、返事をして母の横を通り過ぎ2階へと階段を上がる。


「秘書のあんたが連絡取れないでどうするの!?」


母の言葉を遮断するように、私は部屋のドアを閉めた。


そんな事分かってるよ!

でも、私だって自分の気持ちを抑えきれない時だって有るのよ!

私は良い人じゃないの!

人を羨むし、人を妬む。

時には怒りもすれば人を馬鹿にすることだってある。

現実を受け入れなくてはいけないと思っていてもそれが出来無いことだって有る。

私は聖人君子でもマザーテレサでも無い。

好きな人に自分だけを愛してほしいと思う普通の女なの。


ベットに潜り込んだものの再び鳴り出したスマホを仕方なく鞄から出し通話ボタンを押す。


「リンリン、なぜ勝手に帰った!? 今まで何処に行ってたんだ!? どうして電話に出なかった!? 心配したんだぞ」


ふーん… 心配ね? 

あなたには他に心配する人は居るでしょ?


「ご心配おかけして申し訳ありませんでした。 野暮用を思い出したものですから、専務は電話中でしたのでそのまま失礼させて頂きました」

私は事務的に話をした。

「野暮用ってなんだ? 誰かに会っていた? まさかあの不動産屋か!?」


なんでここで光永さんが出て来るのよ…


「いいえ違います。 大学時代の友人です」


その後も専務は友達は男か女かと聞いていたが、勤務時間以外に誰と会って居ようが専務に関係ないと思う。

だから、今日は疲れたから寝ますと言って電話を一方的に切ってやった。

あんたは、私のなんなんだ!?





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