専務に仕事をさせるには

母が下で大きな声で私を呼んでる。

もう煩いな…

時計を見ればまだ8時。

今日は休みなんだからもう少し寝かせてよ…


布団を頭まで被り再び夢の世界へ戻ろうとした時、パタパタと階段を上がる音。

ガチャと扉が開いたと思ったら母に布団を剥がされた。


「鈴々、起きなさい! 専務さんが見えてるわよ!」


「どうして!?」


私は、慌てて飛び起きる。

今日は大阪で取引相手の創立記念パティーに出席する事になっている。

本当は昨日あちらに泊まりそのまま社長とふたりで出席する筈だったのだ。


何やってるのよ!?

うちに来てたら間にあわなくなるでしょよ!?


私はマキシワンピースを頭から被り着て階段を駆け下りる。

リビングでは専務がのんびりリお茶を飲んでる。


「専務何やってるんですか!?」


「お茶飲んでる。 やっぱり日本茶は落ち着くよなぁ」


あんたはジィジィか!?


「今日は大阪ですよね!? お茶なんか飲んでる場合じゃないでしょ!? 新幹線に間にあわなくなるでしょ!?」


「行くの辞めた」


辞めたって… 何言ってるの?


その時、母がご飯の準備出来ましたよ。と、声をかける。

すると専務は当然の様にダイニングテーブルにつき、手を合わせ、いただきますと言ってお味噌汁を啜る。


「朝はやっぱり和食だよな? 俺、日本人で良かった」


何が日本人で良かった、だ!!

そんなのんきな事を言ってる場合じゃ無いだろ!?


バッン!! 

私はテーブルを叩いて専務を睨む。


「専務!!」


だが、専務は怯むこと無く食事を食べ続けている。


「美子さんのご飯は美味しいな。 俺、昨夜、何も食べてないんだよな? 誰かさんが勝手に帰っちゃったからさ!」


私が勝手に帰った事とあんたが飯を食べてない事とどう関係あるのよ!?

ひとりで食べるのが寂しいなら、愛する人と一緒に食べれば良いじゃない!

「このタラの粕漬け最高!美子さんご飯お代わりお願いします。あっ味噌汁も」

と、図々しいくお代わりを催促し尚も嬉しそうに食べている専務。


こやつマジで行かないつもりか?


私は、慌てて部屋に戻り、簡単に化粧をして、GパンとロンTに着替えジャケットと鞄を持って再びリビングへ向かう。





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