専務に仕事をさせるには
何とか専務を乗せた新幹線を見送り、さて、この後どうしようかと考えていると鞄の中のスマホが振るえた。
スマホを取り出し見ても知らない番号。
誰だ?と画面をタップする。
「もしもし…瀬戸ですが」
「おはようございます。光永です。昨日は有り難うございました」
ああ、光永さん。
「おはようございます。こちらこそお世話になりました。何かありましたでしょうか?」
こんなに早くからどうしたんたろう?
まさか、昨日の今日でマンションをどうするか返事が欲しいとか言わないよね?
『いえ、あなたの声が聞きたかったもので』
はぁ?
『今日はお仕事ですか?』
「いえ、休みですが」
『でしたら、ドライブでも行きませんか? 鎌倉にとても美味しい地元の野菜を使ったパスタを食べさせるお店が有るんです』
確かに昨日、光永さんとの話の中でドライブが好きと話した。
鎌倉にも最近は行っていないから行きたいとも。
だからと言って…
「申し訳有りません。 今日は予定がありまして」
光永さんは夜は?と聞いてきたが、一日予定があるとお断りをした。
『では、月曜日の夜は如何でしょう?向かえに行きますから、仕事が終わったら連絡を下さい』
「光永さん、昨日のお礼と言う事ならお気遣いいただかなくても… むしろ私の方がご迷惑をお掛けしたのですから」
そう。もう少しで私は小沢さんを殴るところだった。
光永さんが止めていなければ確実に殴っていた。
もし、殴っていれば、小沢さんに訴えられていたかもしれない。
『では、瀬戸さんそのお詫びをして下さい。そして、僕と食事に付き合って下さい』
はぁ? なんですと?
昨日の詫びを私にしろと?
なんだか光永さん初めの印象と違う。
「申し訳有りません。 当分、夜は予定が入っているもので…」