専務に仕事をさせるには
私は次の新幹線の到着時間を電子掲示板で確認する。
「それではどこか近くのカフェでお茶でもして待ちましょうか?」
「なぜ?」
なぜって…もう直ぐ会社のトップが到着すると分かっていて迎え待たないのは社員としてどうかと思うけど?
だが、そんな私の立場的なものはこの男には関係無いようで眉間に皺を寄せる。
「リンリンは俺を待っていたんじゃないのか?もし年寄りに捕まると面倒くさくなる。家で一緒に飯を食おうだの言い出すぞ?ましてやあのじぃじぃなら明日は休みだから泊まっていけと言われかねないぞ?良いのか?俺は嫌だからな!?リンリンを抱けなくなるのは困る!」
抱けなくなるのが困るとはどういう理由だ!?
しかし、それは別としても会長宅で食事とか誘われるのは困る。
前回の食事にしても緊張して味も分からないくらいだったのに、それに、無いと思うが、もし、泊まれと言われてはそれこそ大変だ。
ここは専務の言う様に会長達が到着する前に立ち去った方が良い。
私は社長の秘書ではない、到着時間を知らなかったと理由付く、それに今日は私は仕事は休みなのだから。
「では、待つのは辞めにして食事にでも行きますか?あっもしかして済ませました?」
「まだに決まってるだろ!リンリンが待ってるのに!」
専務に何を食べに行こうかと聞くとホテルのレストランにしようと言う。
今日は土曜日、夜景の素晴らしいレストランは無理ではと言うと、予約はしてあるという。
専務は、朝、私と別れた後レストランの予約を入れておいたと言う。
「本当の俺は仕事の出来る男だからな!さぁ、行こうか」と、言って私の肩に手を回す。
だが、誰が何処から見ているか分からないのにと、私はすかさずその腕から離れる。
専務はチッと舌打ちをしていたが、そんな事は気にせず、私はタクシー乗り場へ急ぎ順番の列へ並ぶ。