専務に仕事をさせるには

流石に夜景の見える席では無かったが、美味しいものを食べ満足した後、もう少し飲もうかとバーへ向かった。

シャープな眼鏡を掛けた洋子お気に入りのバーテンダーがいらっしゃいませと低い声で迎えてくれる。

洋子は眼鏡に萌えるらしく、今の彼のことも眼鏡を指で上げる仕草にやられたと話していた。

洋子に誘われて初めてここに飲みに来た時も、綺麗な姿勢でシェイカーを振る彼の姿に私も魅入られた。

彼はシェイカーを振る手を止め魅惑的な色のカクテルをグラスに注ぎ、私達の前にグラスを静かに差し出し、そして眼鏡を中指で上げほんの少しだけ口角を上げた。

無駄のないスマートな動き、そして、ほんの少しだけ見せた微笑み。

多分、彼は知っているのだろう自分の魅力を。

そして、どうしたら女性が喜ぶかを。

案の定、洋子はその仕草に悲鳴にも似た歓喜の声を上げた。

確かにイケメンのうえ眼鏡好きの洋子には堪らないだろう。

言うまでもなく、その日からここは洋子のお気に入りになったのだ。


さて、今夜はどうしようかな…折角だからカクテル?


あまりカクテルに詳しくない私は何にしようかと決め兼ねていると専務が注文してくれた。


「シャルトリューズのヴェールをクラッシュアイスで、彼女にはトニック割で、ライム絞ってください」と、専務は注文してくれる。


するとバーテンダーは「かしこまりました」とリキュールが並べられた後ろの棚へ手を伸ばした。





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