専務に仕事をさせるには

朝、いつもより早く目が覚めた。

覚めたというより寝ていないと言ったほうが正確。

昨日、専務が言った言葉が頭から離れず、眠る事が出来なかった。

『リンリンの気持ちは嬉しいが、リンリンに出来る事はなにも無い』

私に出来る事はなにも無い。

秘書なのに手伝える事も何も無いの?

私はあなたの体の相手をするだけ?

なんて役立たずな秘書なんだろう…

ああ、めっちゃテンション低く。

メイクをしようと鏡に向うと酷い顔の私が居た。

頬を叩き鏡に映る自分に叱咤する。


「頑張れ鈴々!こんな事で落ち込んでる場合じゃないでしょ!?」


なんとかテンションを上げ、いつもより早く出勤した。

専務室では応接セットのテーブルに書類が山積みに置かれ、ソファーで室長が眠っていた。

役に立たない秘書の代わりに室長が専務の仕事を手伝った様だ。

徹夜したんだ?

始業時間まではまだ時間がある。

部屋の電気を消しブラインドを下げる。

専務の机の上も書類で覆われているが専務は居ない。

部屋を見渡すと、プライベートルームの扉が少し開いている事に気付き、部屋を覗くと専務がベッドに横になっていた。

私はベッドに近づいて専務の前髪をそっと上げる。

長いまつ毛に綺麗な顔。

ホント、イケメンだよなぁ…


専務の顔を見ていると専務の目が開いた。


「ごめんなさい。起こしちゃいましたね?」


「今、何時だ?」


「6時30分です。もう少し休まれたらどうですか?室長もまだ寝てらっしゃいますよ」


専務は1時間したら起こしてくれと言って瞼を閉じた。





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