専務に仕事をさせるには
社長に頼まれたコーヒーを持って社長室へ入ると、先程と同じ様に社長室には社長お一人が居た。
「あの、コーヒーをおふたり分お持ちしましたが、どなたかお見えになるのでは?」
先程、社長は日本茶ではなくコーヒーをふたり分持って来て欲しいと頼んだ。
「ひとつは瀬戸さんの分、少し休憩しない」
「いえ、私はまだ出勤したばかりですので、休憩は…」
まだ、始業時間になって1時間も経っていないのに、休憩を取るなど有り得ない。
「良いから座りなさい!あなたが、朝早くから出勤してる事は知ってるのよ」
え?
「社員の勤怠は一応目を通してるのよ!過剰な残業で体を壊して貰っては困りますからね?」
これでも社長なのよ、と社長は笑って、自席からソファーへ移動して来た。
そして、チョコ好きかしら?と言って小さな箱をテーブルに置いた。
「申し訳ありません。勝手なことをしまして…」
私は深く頭を下げた。
私は先週からグレースで働くために、18時きっかりに帰らせて貰ってる。
勿論、グレースで働いてる事は、渉以外誰も知らない。
その為、残った仕事を朝早く出勤して済ませているのだ。
「頭を上げて、あなたも座りなさい」
「でも…」
「コーヒーが冷めるでしょ?早く座りなさい」
私は、「はい」と返事をして社長の向かいに座らせてもらった。
「無理しないでね?睡眠時間はあるの?あなたが体を壊したら、私が要に怒られちゃうから?」
え?どうして社長が専務に怒られるの?
ああ、社員が過労で倒れて、会社を訴える事もあると聞く。
そんな事にでもなったら社長の責任問題になる、そして私のボスの専務の責任問題にも成りかねない。
もし、今そんな事になったら、副社長が喜ぶだけだ!
「大丈夫です!私、体力には自信ありますし、朝早く出勤してるのも仕事の遅いのに残業したくない自分のせいですので!絶対に社長にはご迷惑をお掛けしませんから」