専務に仕事をさせるには
私は、淹れてきたコーヒーを専務のデスクに置く。
「あちらでは、何か掴めました?」
「ああ、苦労したが色々分かったよ!無くなった荷物がとこへ行ったか、誰が絡んでいるかも分かった。今度の重役会議でケリを付ける!」
やっぱり、今回の事もあの人が絡んでいるのだろうか…
その時、専務のデスクの電話がなった。
「はい、専務室です」
『鈴木です。専務がお帰りになったと聞きましたが?』
「はい、お帰りになっています」
『では、今から副社長が伺いますと、専務にお伝え下さい』
えっ?
鈴木さんは専務の都合も返事も聞かず、一方的に電話を切ってしまった。
まっ不味い!
今、副社長とここで顔を合わせては、私の今迄の苦労が水の泡になる。
今からここを出ても廊下で副社長と鉢合わせする可能性が高い。
「専務!今から副社長が見えますけど、今はまだ銅鑼息子に徹してくださいね!?」
私は、そう言うと専務に買って置いたグラビアアイドルの写真集を広げ手渡す。
そして、私は専務の机の下に隠れる。
「リンリン、何やってる」
私が「しっ!」と言ったと同時にドアがノックされた。
来た…
専務がハイと返事をするとドアが開いた。
「要君、久し振りだね?」
やっぱり副社長だ…
「そうですね?」
専務は立ち上がる事もせず、私の手渡した写真集をペラペラとページを捲って見ている。
「噂には聞いていたが、まさか本当に仕事もしないで、そんな物ばかり見ているとはね?」
専務は小さな声で放っとけと呟いた。
「だが、中国からの荷物紛失の件では、随分力を発揮したようだね?」
「社長に泣きつかれたんでね?知り合いに頼んだだけですよ」
「へぇーそう?あ、そう言えばスタイルだけが取り柄の秘書さんは、どちらかな?一度お目にかかりたいと思ったんだが?もしかして、今も何処かの会議室で誰かと良い事してるのかな?」
副社長は私がいろんな部署の男性と関係をもって居ると話す。
そんな根も葉もない話、誰に聞いたのよ!?頭にくるな!
「それはどういう意味ですか!?彼女は優秀な秘書ですよ!!」
声で専務が苛立っているのがわかる。
ちょっと今はまだ銅鑼息子を演じてよ!?
私は専務のズボンの裾を引っ張って合図した。
だが、専務の顔はピクピクと引き攣ってきている。