専務に仕事をさせるには

「我が息子ながら、ほんと情けなくなるわ…でも、こういう所亡くなった主人によく似てる」

社長は嬉しそうに微笑んでいる。

「瀬戸さん?貴方には要と結婚と言う選択肢は無いのかしら?」

「………自分の立場は弁えて…いるツモリデス」

俯き加減に発した言葉は尻窄みになってしまった。

でも、どうにも出来ない事がある事はよく分かっている。

「そう?…要どうする?」

「俺はリンリンと結婚出来ない様な立場なら今の立場を捨てる!会社は継がない!」

そんな事させられるわけ無いじゃない!

「何言ってるんですか!?専務は何を言ってるか分かってるんですか?」

「ああ、分かってる。社員には悪いが、俺にとって会社よりリンリンの方が大切なんだよ?俺の代わりなんか外部からそれなりの人間を探して来れば良い」

そんなぁ…私の為に会社を捨てるって言うの…

「瀬戸さん、私があなたにお願いした仕事覚えてるかしら?」

社長の真っ直ぐ突き刺さるような眼差し。

勿論、覚えてる…

『要の身の回りを綺麗にして、要が生涯のパートナーを見つけられる様に、そして私の後を継ぐ気持ちになる様に教育して頂戴!』

と、社長に言われた事、忘れたりしていない。

「私は要のパートナーが、何処かのご令嬢じゃなきゃ駄目なんて一言も言ってないわよ?勿論、瀬戸さんが駄目ともね?」

え?

「だから、あなたが要と結婚する事で全てクリアーになるんじゃないかしら?」

え?それは私が専務と結婚する事を許されると言うこと…なの?

「正直、要の事の事どう思ってるの?」

「それは…」

口籠る私に社長は声を荒げる。





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