専務に仕事をさせるには

「これから、ビジネスパートナーになるかもしれない相手に、会わない訳にいかないだろ?」

確かにそうだ。後継者である専務がいたほうが良いだろう。

「だってしょうがないでしょ?相手は女性と話がしたいと言うんだもの」

それは確かに言われた。アルヴェルトの代理の話では、アルヴェルトは人見知りで気が小さい為、初めての男性と話をするのは苦手だと。

「ふん!ただの女好きだろ!エロヴェルトが!」

「とにかく話を聞いてもらって、ビジネスパートナーになってもらう事が大切なのよ!要、分かったわね!?」

専務はフン!と鼻を鳴らした。

「鈴々ちゃん?」

「へっぃ!」

社長からの呼びかけに思わず変な声で答えてしまった。

「あっ緊張してる?フランクに名前で呼んだ方が緊張しないかと思ったんだけど?」

いやいや、かえって社長に名前で呼ばれる方が緊張しますよ…慣れないし。

「なんなら私の事もユリちゃんって呼んでいいわよ?」

アハハ…いえ、それは結構です。

「あの…出来ましたら今迄通り、瀬戸と呼んで頂いたほうが緊張しないのですが…」

「そうなの?もう直ぐ親子になるんだから名前でも良いと思ったんだけどね?」

つい数時間前の話でまだそこ迄頭がついて行きませんよ?

「本日瀬戸鈴々、会社の為、この大役を果たせる様に頑張ります!」シャッキーン

姿勢を正して言い切った私に横で「キャーリンリンカッコいい〜惚れちゃう〜」とチャチャを入れる専務。

本当はこんな大役私に務まるか心配で、あまりの緊張で口から心臓が飛び出しそうになっている。

なのに専務たらこんな時まで!?

「専務、そろそろお見えになる頃ですので、離れてくれませんか?」

「チッ!リンリンと離れたくないけど仕方ないか?」と専務は手を離した。

すると急に緊張で手が震えてきた。

すると専務は私をそっと抱きしめ耳元で囁いてくれた。

「緊張しなくても、鈴々ならやれる」

あっ私が緊張してる事分かってて、専務は手を離さなかったんだ。

そして頑張れと私の頭に手を置いた。

ありがとう…





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