専務に仕事をさせるには
鈴々の母親、美子さんには鈴々にプロポーズした事を伝え許しをもらったが、父親にはまだ会っていなかった。
今夜、鈴々の家の近所の居酒屋で会って貰う事になっている。
「リンリン、本当に居酒屋でお父さん会うのか?」
「うん、ごめんなさい。母が、家に父を入れたがらないから」
鈴々の両親が別居してることは聞いている。どうしてそうなったかも聞いている。
だが、もし、『お父さん、僕に娘さんを下さい!』と言って『俺はお前のお父さんじゃない!誰かお前なんかに』と言って殴られでもしたら… いや、1発くらい殴られても良い。
それで許してくれるなら…
だが、店に迷惑を掛けることにならないか心配だ。
「鈴々❣要く〜ん❣こっちこっち」
居酒屋の扉を開けた途端美子さんの呼ぶ声が聞こえた。
自分の嫁になる女(ひと)の母親から色香のある声で名前を呼ばれると恥ずかしくなる。
頭をポリポリとかいていると、隣から冷たい目を向けられる。
「専務、ナニ照れてるんですか!?」
「美子さんに呼ばれたのがリンリンに呼ばれてるみたいでさ、ちょっと嬉しくなるというか… 仕方ないだろ?リンリンは俺を名前呼んでくれないから」
「だって… 」
「じゃ今夜呼んでくれよ?」と鈴々の耳元で囁くと顔を真っ赤にして「今夜はもうしません!」と断られてしまった。
「しないって何を?」
俺の意地悪な質問に鈴々はバカ!と言って両親の元へ向かった。
鈴々はプロポーズする前と比べて凄く変わった。
今までなら、軽くあしらっていた事も、顔を赤くして本当に可愛い。
こんな可愛い鈴々が見れるなら、もっと早くに言葉に出してプロポーズしとけば良かった。
ホント俺は剛士の言うようにヘタレだったよ。