専務に仕事をさせるには
言葉を失う専務に私はこう言う。
「このまま社へ戻って頂き、専務の女性関係を全て書き出して頂きます!」
「はぁ!? なっなんだと!?」
専務は怒りにも似た声を上げ私を見る。
だが、私は構う事なく続ける。
「約束しましたよね? 女性とは全て手を切ると!?」
「それは……」
「それともあれは嘘だったと?」
「いや… 嘘じゃないけど…」
「では、このまま社へ」
私と専務の話を聞いていたであろうルームミラー越に見える運転手の顔は驚きと戸惑いの顔をしていた。
そりゃーそうだろう。
専務が自分に使える秘書からこんな事を言われ言葉を失うとは思っても居ないだろう。
社長は困った顔の専務を見てお腹を抱えて笑っていた。
そして鶴見室長も肩を震わせている。 たぶん笑いを堪えているのだろう。
社へ到着すると社長と専務、そして秘書室長は社長の斜め後ろを歩き、私は少し離れてロビーへ入って行く。
ロビーでは社長と一緒に居るのが専務とは知らない社員からは「あの人誰?」、そして女性達から「あのイケメン誰?」と小声が聞こえて来る。
その中でも受付に居る洋子は目を丸くして驚いている。
あの夜会った人が社長と一緒居るのだから驚くのは無理もない。
そして、私が専務秘書になった事はメールで連絡済み。
人事部フロワーに貼りだされている辞令も見ているであろう洋子だけはこのイケメンが専務だといち早く知り、口を開けて言葉にならない様子。
そんな洋子を私は横目に見て社長達と一緒に重役専用エレベーターに乗る。
今夜は洋子からの電話やメールの嵐になるのは間違いないようだ。