専務に仕事をさせるには
ボスの妻の座やボスの息子の嫁、勿論、ボスの身内だけではなく、取引先の御曹司、より高い地位や名声のある人を射止めようと必死だと木ノ下さんは教えてくれた。
「あなたのボスはこの会社を継ぐだろうと言われている人よ! だから突然現れたあなたが専務の秘書になる事は皆んな面白くないの。 専務の秘書は誰もが狙っていたから」
「木ノ下さんもですか?…」
「フッ… そうね? 以前の私なら面白くなかったわ! でも… もう、疲れたの… 」
木ノ下さんは寂しそうな顔をして話を続ける。
「私、佐世保常務を本当に愛していたの… あの人のためなら何でも出来る。 何でもするって、人には言えない事もして来たわ… 彼が愛していると言う言葉を信じて… でも、今回の事で彼が助けを求めたのは奥さんだった… 勿論、私には彼を助ける力もお金も無いわ! でも、彼に寄り添う事は出来た。 結局、私は道具でしか無かった…」
木ノ下さん…
「私、田舎へ帰ってお見合いする事にしたの」
「えっ? 会社辞めるんですか!?」
「皆んな私が常務と不倫していた事は知ってるから、彼が居なくなった今はやっぱり居辛いわ… それに私も今年29だし、30過ぎると好条件は減ってくるしね! 少しでも高く売れるうちに売るわ!」と笑って言う。
「えっ? 30過ぎると減るんですか!?」
「ウフフ。あなたの場合どうかしら? それより副社長の秘書、鈴木さんには気を付けなさい! 優しくて面倒見が良い様に見えるけど、裏では何を考えてるか分からない人よ! 副社長も野心家で噂によると社長の座を狙ってるみたいだから」
そして木ノ下さんは
「あなたは自分を見失わないでね」と言って給湯室を後にした。