専務に仕事をさせるには

「いいえ、口止め料はお互い無しと言うことにしましょう?」


「どう言う事かしら!?」


恭子ママは少し苛立ったように言う。


「これだけのお店のママならさぞかし大物の旦那さんが居らっしゃるのでは? もし、その方にうちの久隆と寝た事がバレるとまずい事になりますよね?」


「なに? あなた私を脅すの!?」


「いいえ、お互い忘れましょう! と、言っているんです」


私はママを真っ直ぐ見て微笑む。


「と、言うより久隆とは男女の関係じゃ無いですよね?」


「え?」


ママは目を丸くし少し驚いた顔をする。


「銀座のこんな高級クラブのママさんが客との事を簡単に喋ったりしませんよね? いくら私が久隆の秘書でも」


するとママは笑い出した。


「流石、久隆ちゃんの秘書さんね? その通り久隆ちゃんとはそんな関係じゃないわ! ただのママと客の関係よ!」


やっぱり。


「久隆ちゃんから電話を貰った時は驚いたわ。 寝た事にしてくれって言うんですもの」


はぁ? 専務がなぜ?


「面白いものが見れるからって! 本当楽しませて貰ったわ! 突然来て前置きも何も無く『男女の仲か?』て、普通聞かないわよ? それに私のパトロンに言わないとか、貴方みたいな面白くて度胸のある女(ひと)始めて! 因みに私にはパトロンや旦那さん類の人は居ないわ! 可愛い7歳の彼氏が居るけど」とママは笑う。


ママは元々はOLをしていたが勤めていた会社の社長と不倫をし、それが会社にバレ銀座のホステスになったと言う。

社長とはその後も関係を続け子供が出来、ホステスは辞めていたがその社長も子供が1歳の時に亡くなったという。

その時に残してくれたお金と社長の家族からの口止め料を元手に5年前にお店を出したと言う。





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