専務に仕事をさせるには
メイクを済ませマキシワンピースを着る。
今度の休みに服買いに行かないとダメだな?
着るものが全然ない。
「ねぇお母さん、なにか服貸して?」
母はモデルをやっていただけあって今でもお洒落で服も沢山持っている。
私は、GパンにTシャツが有れば良いという方だからあまり服は多くないのだ。
私と母とはサイズはほとんど変わらない。
今度の休みまでお母さんの服で間に合わせよう!
「ねぇってば!」
なんで???
ダイニングへ行けばなぜか専務が居る。
そして朝食を食べている。
固まる私に専務はにっこり笑って「おはよう」と言う。
「何やってるの? いつまても専務さんを待たせてたらダメでしょ? 早く食べなさい」
「うん…」
私は椅子に座り野菜ジュースの入ったグラスを持つ。
でも、飲む事無くグラスを置く。
「なんで、専務がここに居るんですか?」
「昨日、迎えに行くって言ったろ?」
「それは断りました!」
「そっか?」
何が「そっか?」だ!! 覚えているくせに!
「で、なんでうちで食事してるんですか?」
「リンリンのお母さんが『朝食食べましたか?』って聞いたから、『まだです。』って言ったら、『食べますか?』って言ったから、『はい!食べます。』って言った」
「………」
なんで『食べますか?』で、『食べます。』になるのよ!
普通遠慮するでしょ?
お母さんもお母さんよ!
なんで専務が来てるなら来てるって教えに来ないのよ!?
娘の上司、それも大会社の専務が迎えに来るなんて可怪しいと思わないの?
それに『朝食食べて来ましたか?』って聞くの可怪しいでしょ!?
何考えてるのよ!?
私は呆れて言葉にならず野菜ジュースを一気に飲み干すと母の服を適当に借り着替えると「行ってきます」と言い玄関を出る。
駅に向って歩いて居ると後ろからクラクションが聞こえる。