専務に仕事をさせるには

「大量に買った新聞や雑誌の領収書は鶴見に出したか?」


「朝の駅の売店は忙しいんですよ!? 領収書なんて貰える訳無いじゃないですか!?」


「で、今日も自腹か?」


「仕方ないですよ! これも秘書の仕事ですから」


「アホ! そんなもの仕事じゃねよ! 新聞は会社が契約してる販売店があるから鶴見に聞くと良い。 それから雑誌は要らない。 必要な物があったらその都度君に言う。 だから、自腹なんかで必要のない雑誌まで買わなくて良い。 分かった?」


「はい…」


あぁ、私は何やってるんだ昨日のうちに専務に必要な物を聞いておかなくちゃいけなかったのに…

私、だめだな…


肩を落としていると専務は私の頭をポンポンとして


「そんなに落ち込むな、始まったばかりだろ? 分からない事が有って同然。 それに俺は君に感謝してるよ」


「感謝?」


「あぁ、面倒な女の後始末をしてくれてるんだからな?」


と、専務は笑って言う。


面倒な女ね?

本当は面倒なオカマでしょ?

あの雅ママと専務の関係を切る事は私に出来るのだろうか…


出社すると一度秘書室へ荷物を置きに向う。

やっぱり今日も鶴見室長はすでに仕事をしていた。


「鶴見室長、おはようございます」


「おはようございます」


鶴見室長はパソコンの手を止めずに挨拶をする。


「鶴見室長、新聞の事ですが」


「新聞の事は総務に話を通してありますから、必要な新聞や月刊誌など連絡してあげて下さい」


流石、鶴見室長連絡済みですか?


「有難うございます」


「で、昨夜はどちらのお店へ行かれたんですか?」


「銀座のクラブへ1軒と歌舞伎町のお店に行きました。 鶴見室長はピンクパンティーってお店ご存知ですか?」


「えっ!! 瀬戸さん、ピンクパンティーに行ったんですか!?」


鶴見室長は今まで止めなかったキーボードを打つ手を止めた。


「え? ええ」


「じゃ、ママに会ったんですね…」


そして驚いた顔をする。


「はい… 色々お話は聞きました…」


「そうですか… 分かっていると思いますが、くれぐれも他言をしない様に良いですね?」


鶴見室長はキーボードから顔を上げメガネの奥の瞳を光らせた。


怖い…

私は思わず後ずさりした。


「はっはい! 守秘義務は守ります」





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