専務に仕事をさせるには
「本当にこいつ大丈夫なのか? 俺が両刀だとか訳の分からん事ベラベラ喋って、それにさっきから鈴々って馴れ馴れしするぎる!!」
「あんたより俺の方が鈴々と付き合いは長いの! それに自分の遊んだ女の後始末をさせる男にとやかく言われたくないね!? 気に入らないなら仕事は他に回せよ!? 鈴々からの呼び出しだったから来たんだから! 用が無いなら俺帰るわ、じゃ!」
そう言って、店を出て行こうとする渉。
「渉、待って! お願いだから専務の力になって!」
「専務も、渉は本当に良いやつで、こんなんだけど仕事は真面目で手を抜かない! だからきっと専務の力になってくれます! 私を信じて! 私の信じてる渉を信じて!」
「……分った。彼に仕事を頼むよ。急を要するから今から良いか?」
「今から話を聞くのは構わないが、まだ引き受けるかどうかは話を聞いてからにするけど良い? 勿論、仕事を引き受けなくてもここで聞いた事は一切他言はしない」
「分ったそれで良い。じゃ、雅人、リンリンを家に送ってくれるか?」
「え?えっ?! どうして、私が帰るんですか? 私も話し聞きます!」
「ダメだ! お前は直ぐに頭に血が登るからな?」
いやいや、あなたに言われたく無いですよ?
あなたはここへ乗り込んできた時の事をお忘れですか?
雅ママに恋人だと言われて怒って殴る活きよいで来たくせに!
「リンリンは愛社精神が強すぎる。お前は知らない方が良い直ぐ顔に出るからな!?」
「そうですね? 知っていれば危険が伴うかも知れません」
えー鶴見室長まで?…
「だってさ! おスズ、ほら、行くぞ!」
雅ママ飲酒運転だよ?と言うと、俺のは烏龍茶だと言われ、雅ママに腕を捕まれお店の外へ連れだされた。
不貞腐れている私を雅ママは車へ押し込みエンジンを掛ける。
「そんなに不貞腐れると折角の美人が台無しだろ? 時間も早いし俺とどっか良い所でも行くか?」
雅ママはハンドルに頭を預けてこちら見て意味深に微笑む。
「そんな格好で口説かないでください!! 女装してる時は雅ママに徹してくださいよ!」
「はいはい、じゃお送りしますわ〜❣」
その後雅ママは黙って車を走らせた。
私も車窓を流れる夜の街を無言で見ていた。