専務に仕事をさせるには
不本意なミッション

専務に渉を紹介してから1週間が過ぎていた。

専務は約束を守り、朝迎えに来る事は無くなった。

母は専務が来なくなって『なんで迎えに来てもらわないの?』と寂しそうにしているが、これが普通なのだから寂しがる母が間違っている。

そんなに寂しいならお父さんを迎え入れればいいのに!

母は父が仕事で留守の間に食事をアパートに運んでいる。

そして父からの『有難う』と言う伝言を母に伝えると母は『私は知らない!どっかの女が世話焼いて居るんじゃないの!?』と飽くまで自分では無いと言う。

こんな事いつ迄続けるのかな?…

そして、いつもと変わらず専務と一緒におじちゃんのお弁当を食べて過ごす。

でも今日は食後のコーヒー出したところで私は専務にお願いをする。


「専務、私に何か仕事ください!」


専務は、今、室長と内密な仕事をして居て他にはなにも仕事をしていない。

私には室長と何をしているのか教えてもらえず、関わる仕事の支持も貰えない。

だから、私には仕事らしい仕事は何も無いのだ。

これでは私は給料泥棒になってしまう。


「ん?リンリン仕事してるだろ?」


「部屋の掃除や食事の手配だけで何もしてないです。 これでは私、給料泥棒になっちゃいます!」


「もっと仕事が欲しいと?」


「はい!」


「…分かった。じゃ、人に聞かれたらまずいから表の札を不在にして鍵を閉めて来てくれるか?」


やった! これは私も仲間に入れてくれるという事だな?

会社の顧問弁護士を使わないとか渉に仕事を頼むくらいなんだからよっぽどの事がこの会社に起こってるんだよね?

なんだかワクワクする。


私は前室のドアの外に顔を出しキョロキョロと廊下を見渡し、誰も居ない事を確認する。


「よし! 誰もいない!」


札を在室から不在にして前室の鍵を掛ける。

そして念の為専務室の鍵も掛ける。


今、私の頭の中には007のテーマ曲が流れている。

あードキドキして来た。


「専務、OKです!」


「じゃ、リンリンここへおいで?」


専務は自分の隣へ座れとソファーをトントンとする。


はいはい! 何でしょ? 何でしょう!?





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