この広い世界で、2度目の初恋を


下駄箱にたどり着くと、私はノロノロと上履きに履き替えた。

こんな時に限って、席が隣だなんて……。

気まずいにもほどがある。


「はぁ…」

本日何回目か分からないため息をつくと…。

「七海!!」

不意に、背後から名前を呼ばれた。

振り返らなくても分かる、この学校で私を七海なんて呼ぶのは…。


い、樹くんだ……。

あぁ、どうしよう!!

振り返る?

ううん、どんな顔で会ったらいいのか……わからないよ。


「………おはよう」

私は、振り返らずにそう言った。

「あのさ、俺、七海に話が……」

「ごめん、今は何を…話したらいいのか、分からない」 


樹くんの言葉を遮って、私はそそくさと外靴を下駄箱に突っ込んだ。

そして、逃げるようにその場から離れようと歩きだした、その瞬間……。



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