この広い世界で、2度目の初恋を


『樹くんの言葉は、添田さんの心に届いたかい?』

『………樹くんを信じたいとは思います。だけど……』


信じたい。

でも、私の胸にはまだ、それだけの余裕がない。

一度できた傷が、ズキズキと傷んで、私にもう二度と誰かを信じるなと言う。


『まだ信じるのか怖いんだね』


先生が、私の気持ちを代わりに言葉にする。


『はい……』


『今は、少し休息が必要なのかもしれないね。ご飯を食べて、ゆっくり眠ったら、きっとその気持ちも落ち着くんじゃないかな』


先生の言葉に頷いて、ゆっくりと胸のとんぼ玉に触れた。
 
どうか、初恋の王子様……。
 
この胸の痛みを、不安をあの太陽みたいな笑顔で取り去って。

すがるような気持ちで、そう願った。
   



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