からっぽ。
迷子 ♯1
《要一》



また、いつもの毎日。

だが……

あの夜、歩実さんを抱きしめた事で、俺の中の何かが変わっていた。


まずは、香子ママの事をハッキリさせよう…

心は決まっている。



そう……

前に進もうと、やっと一歩を踏み出そうとした時。



“カラン…”

店のドアの開く音。


凌が来るには、まだ時間があったから、業者か何かだろうと、何気なくドアの方に目をやる。



「………裕美……」


少し痩せて、髪型も変わっていたが、すぐに分かった。


かつて愛した女が、そこに居たのだから………



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