呼吸(いき)するように愛してる
ふ~ん…そういうもんなのかな?

「その人が新人研修を担当していて、初めて伊達メガネを勧めたのが三年前だったって。それがまさか、男の子になるとは思ってなかったし、二人目も男の子になるなんてって、笑ってた」

「須賀さんの前にメガネを勧められたのが、匠くん?」

「ああ。そう聞いた」

匠くんは、昔からモテていた。知らない女の子が突然、告白をする為に自宅を訪ねて来た…なんて話も一度じゃない。

どうしても手が足りなくって、カフェを手伝いに行ったら、女の子に声をかけられて、思ったように手伝いができなかったとか。

要お兄ちゃんもそうだったし。

小さい時から普通に、見ていたり、聞いていた事だったから、その事をあまり深く考えた事はなかったけど。モテすぎるのも、本人にしかわからない苦労があるのかな……

「美羽ちゃん、俺のお願い、そろそろ聞いてもらえる?」

目の前にいる須賀さんの事を忘れて、頭の中は匠くんでいっぱいになっていた。

「あっ……はい!話してくれて、ありがとうございました!須賀さんのお願いって、何ですか?」

お礼を言って、小首を傾げて須賀さんを見た。須賀さんが、フッ…と小さく笑ったように見えた。……と思ったら、須賀さんが私の目の前にいた。

「ちょっ!!須賀さんっ!?」

「こっちの方が落ち着く」と言って、須賀さんは一人掛けソファーの方に座って、私が二人掛けソファーに座った。

真ん中にデン!と座ってはいないけど、須賀さんのいる私の右手の方にも、隙間があった。

須賀さんは、私の足のすぐ横に左膝をつき、両手は私を閉じこめるようにソファーの背もたれについている。

その姿勢になるまで、本当にあっという間で、私はただ、のけ反るしかできなかった。

「すっ、須賀さん……」

私は目を見開いて、息を詰めるようにして須賀さんを見つめた。

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