呼吸(いき)するように愛してる
『美羽、よかったね』

みちるちゃんからは、一言だけのメッセージがすぐに返ってきた。

前日の残りの煮込みハンバーグやポテトサラダ、朝作った玉子焼きやいんげんのごま和え等を、匠くんと私のお弁当箱に詰めた。

お揃いのおかずが入ったお弁当を見て、一人ニヤけた。

朝食も、匠くんと二人で食べた。

匠くんが出かけるのを玄関で見送ってから、私も職場に向かった。

以前からそんな事を考えて、コソッと喜んでいたのに、匠くんの“彼女”となった今、私は思いっきり『新婚さん』気分である。

明日は「いってらっしゃい」のキスとか、しちゃったりする?

昨夜の匠くんとのキスを思い出し、顔が熱くなる。あっ、あんなに何回もはしないけどね!

そう。久々に、匠くんが「おやすみ」のキスもしてくれた。おでこにだけど。てへっ!……

私の頭の中には、お花畑ができあがっていた。どこまでも続く、咲き乱れたお花畑が……

普通にしているつもりが、自然と頬が緩みニヤけてしまう。

そんな、普段に輪をかけてわかりやすくなっている私を、こちらも勘のいい知花さんが放っておいてくれるはずもなく……

「美羽ちゃん、待ってたわよ。昨日と、ずいぶん雰囲気が違うのね~『いい事がありました』て、可愛いお顔に書いてあるわよ。…さぁ、全部吐いてもらうからね!」

と、悪魔の微笑みを向けられた。

「いっ、命ばかりはお助けを!」知花さんの微笑みを見て、そんな気持ちになった私は、もちろん洗いざらい喋らされた。

私の話を聞き終えた知花さんは“悪魔の微笑み”でなく、明るい笑顔を向けてくれた。

「よかったね!美羽ちゃんっ!長年の片想いが、報われたね。…こうなると、わかってはいたけどね!」

そう言って、ギュッ!と抱きしめてくれた。

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