呼吸(いき)するように愛してる
「ありがとうございます!なんか、まだ夢の中にいるようなんですけど……」

照れ笑いを浮かべる私の頭を、知花さんは「よしよし」と撫でてくれた。

「さあ、これで美羽ちゃんのロストヴァージンの日もすぐね!」

「ロッ、ロストヴァー!?」

とても最後まで言えず、目を見開いて知花さんを見る。

「そっ、そんないきなり……きっ、昨日、やっと付き合い始めたようなものですよ!?」

両手をブンブンと横に振りながら、知花さんに言った。

「あら?何を仰っているの、美羽さん?」

知花さんが、かけているはずのないメガネをクイッと上げる。

もう!どういうキャラですか、それ!?

「昨日、接吻ぐらいはなさったんでしょう?」

せっ、接吻て……なんか、逆にイヤラシイ……

顔を火照らせながらも答えなかった。

「なさったのね。舌ぐらいは、入ってきたのでしょう?」

「しっ、舌~!?」

思わずブンブンと首を横に振ると「さすが匠くん。我慢強いわ」なんて、知花さんが呟いた。

「いい、美羽さん?お二人とも、もう立派な大人よね?」

知花さんの問いにコクコクと頷く。私、すっかり知花さんにのせられています。

「『付き合い始めたばかり』といっても、幼なじみでしょう。お互いの事、もうよく知ってらっしゃるわよね。それでも、長い間心が変わらなかったのでしょう?」

再び、頷く。

「匠くんは、美羽さんが高校生の時から、大人になるのを待っていてくれたようなものでしょう?……これ以上、お待たせするのかしら?」

なんのリアクションもできず、固まる。別に、匠くんがその事だけを待っていた訳ではないと思うけど。でも……そういう事になるの……?

「しばらくお付き合いしてからでないと、美羽さんが心変わりをするかも……」

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