呼吸(いき)するように愛してる
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その週の土曜日、私は仕事だった。

フジノは第二・第四土曜日はお休みで、日直の二人だけが出勤する。日直は、営業・事務の五人が交代でする。それ以外の土曜日は仕事になる。

匠くんは、異動前にいた市の銀行の同僚達と、土曜日の夜に飲みに行く約束していて、そのまま同僚の家に泊まってくる。

翌日曜日は、同僚が入っている草野球チームの試合に、助っ人として参加する。異動前は、たまに声がかかっていたそうだ。

匠くんと想いが通じあって迎える初めての週末は、別々で過ごす事になった。

もちろん「会いたい!」とは思うけど……。なんか、嬉しいような、恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちも感じてる。

匠くんの夕食の準備で、毎日顔は合わせる。会話の内容とか雰囲気とか、以前より甘い空気?みたいなものもあると思う。……私が、デレてるだけかもしれないけど。

付き合った経験のない私は、それ以上どうしていいのかわからない。

こっ、恋人同士になると、もっと何かが変わるの?変えた方がいいの?

それさえも、よくわからなくて。

だから知花さんに、「週末はデート?」なんて聞かれても「えっ!?」としか答えられなかった。

デート……したいっ!匠くんと、デートしたい!!

恥ずかしいけど、私から誘ってもいいのかな?どう言うの?そのまま「デートしたい!」でいいのかな……?

女子同士のそういう話は、ずっと耳にしていたはずなのに、その事を自分の事として、うまく置き換える事ができなかった。

考えないようにしているが、知花さんに言われた『ロストヴァージン』の件も、もちろん気になるし……

匠くんとどう接したら……?で戸惑っているのに、それは私にはハードルが高すぎる!

そんな風に頭の中がいっぱいになっていた私に、金曜日の夕食の時、匠くんが切り出した。

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