呼吸(いき)するように愛してる
「美羽、土日の事なんだけど……ごめん!俺、前から約束してて……」

「へっ!?…約束?」

匠くんに先に言われた事にびっくりして、匠くんに予定がある事にも、心がザワザワした。

そして、同僚との飲み会の事とか草野球の助っ人の事を匠くんが話してくれた。

そっか……前から約束していたのなら、仕方ないよね。

残念には思ったけど、匠くんから週末の予定を話してくれたのが嬉しくて、私は笑って頷いた。

「うん、わかった!楽しんできてね!」

「……美羽は、やけにあっさりしてるんだな……」

眉尻を下げながら話していた匠くんが、軽く眉根を寄せて、素っ気なく言い放った。

「えっ?……」

急に不機嫌になった匠くんに戸惑って、私は小首を傾げて匠くんを見つめた。

「俺の気持ちを伝えて、美羽の気持ちもわかって。……休みの日には、もっと美羽と一緒にいたいと思っていたのに、俺、二日間とも予定入れてるし。…断ろうと思って電話をかけたら、『みんなおまえに会えるの、楽しみにしてるぞ!』なんて先に言われて、結局断れなかったし……」

怒っているのかと思った匠くんのその言葉は、だんだんトーンが低く小さくなり、拗ねているような声音になった。

どうしよう……匠くんが、可愛い……!

匠くんと恋人として、どう接したらいいのか悩んでいるのは、私だけなんだと思ってた。

匠くんは大人だし、……付き合った事もあるだろうし、私と恋人同士になったって、余裕たっぷりなんだと思ってた。

でも……そうじゃないのかも。匠くんにも、思うようにいかなかったり、迷ったりする事が、あるのかもしれない。

そう思ったら、なんだか肩の力がスッと抜けた感じがした。

私が一人でごちゃごちゃと考えても仕方ない。感じた事思った事は、きちんと相手に伝えなきゃ。思わぬ誤解をしている事だってある。

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