呼吸(いき)するように愛してる
偶然か、そうじゃないのか、美里が進学した大学は、俺が最初に行こうと思っていた大学だった。兄貴が通う専門学校と近い場所にある。

二人が想いあっているのは、傍で見ていればわかる。

それでも一緒にいられない理由が、二人にはあるのだろう。

……人の事、どうこう考えている場合じゃないな。……でも、大学の時と違って今は同じ県内にいるんだ。

仕事が落ち着いて、休みの時にでも美羽に会いに行こう。美羽のセーラー服姿も見たいし。

その時の俺は、そう思っていた。まだ、余裕があったんだな。

正式に支店に配属され、仕事を始めてまだ一週間も経っていない頃。

その日の午後、急遽本店まで書類を届ける事になった。

「サボっていいとは、もちろん言えないが。きちんと書類を届けたら、まあ、事故に気を付けて慌てず帰ってこい!」

支店長から直々に書類を渡されながら、そんな言葉をもらった。

最初は緊張感もあって、しっかりと公用車のハンドルを握っていた。しかし本店と実家のある市が近付き、見知った道になると若干緊張感も緩んできた。

昼食をとった直後、その日はよく晴れて、ポカポカ陽気だった。

書類を無事に本店に届け、運転席に座る。シートベルトをしながらも、瞼が重い。このまま走っても、居眠りしそうだな……そう不安に思いながら車を出したら、公園の駐車場が目に入った。

「支店長の許可ももらっているんだし、休憩していくか……」

公園の駐車場に車を止めた。車から降りると、近くの自動販売機で冷たいブラックコーヒーを買った。

コーヒーを持ち、公園内に入る。天気がいいせいか、ベビーカーを押したり、小さな子どもを連れたお母さん達の姿を見かけた。

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