呼吸(いき)するように愛してる
「俺からそれを言ったんじゃない!たまたま、栗原みたいないい男に何で彼女がいないんだ?て話に、野球チームでなったんだよ。『好きな人はいるらしいぞ』『栗原が告白すれば、すぐにOKするだろ?』『告白はまだしてないって』『…告白できない相手…もしかして“男”……』」

「どうしてそうなるんすかっ!?」

“先輩”とか、関係ない!俺は、噛みつく勢いで乃木さんに言った。

職場の中でそんな疑惑をもたれているのも冗談じゃないのに、乃木さんに誘われて助っ人に行っている草野球チームにまで、そんな疑惑をもたれていたとは!

「…だいたいその疑惑、どこの支店の話ですか?……もしかして、市内の支店全域に広まってるとか……」

「まあまあ、落ち着け栗原!おまえに彼女ができたなら、その事を俺がちゃんと広めてやるから!…そのかわり、いつか彼女に会わせろよ!お隣の美羽ちゃん!」

終始ニヤニヤしている乃木さんに、俺は肩を竦めて溜め息を付いた。

乃木さんには、「好きな人はいるが、俺の片想い」としか話していなかったが、深く突っこまれる事もなかった。もしかして、ゲイだと疑われていたからか?

明日、野球の試合の後すぐに帰ると言ったら、理由を訊かれた。こう言うのが一番確実だと思った俺は「彼女が待ってるから」と答えた。

すると、乃木さんにいろいろと問い詰められてしまったのだ。……乃木さんが、こんな人だったとは……

「……もう異動もしちゃったし、どうでもいいですよ……てか、乃木さん!余計な事、言わないでくださいよ!」

妙に楽しそうな乃木さんに、一応、釘をさしておく。

「任せとけって!……そうだ、片想いが実った栗原にお祝いをあげよう!おまえ、ご無沙汰だろうし。……ほら!」

相変わらずニヤニヤしながら、ポケットから取り出した財布の中を探る乃木さん。そして、ピンク色の小さな四角いパッケージの物を、俺に差し出してきた。

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