呼吸(いき)するように愛してる
「……何ですか?お祝いて……」

胡乱な視線を乃木さんに送りながら、とりあえず受け取る。間近でそれを確認して、とっさに片手で握って隠す。

「これ、コッ!……コン○ームじゃないすかっ!!どうしてこんな物が、財布から出てくるんすかっ!?」

思わず出た大きな声に自分で驚いて、慌てて声量を下げた。乃木さんに渡された一見ラブリーなそれは、まぎれもなく男性用避妊具だった。

「大事な事だろ?いつでも準備万端なのが、いい男の嗜みってもんだ!」

確かにここ数年ご無沙汰で、これは持っていないけど……イヤ!そういう事じゃなくて……

自信満々に言ってのける先輩に、俺は返す言葉がなかった。

結局、俺はしばらくコン○ームを握りしめていて、そのまま財布に入れて持ち帰る羽目になった。

美羽の思わぬ行動から、それがすぐに役立つ時がくるなんて……

乃木さんには、絶対に言わない!


*****



そして、ようやく 美羽が二十歳を迎える日がきた。

誕生日の花束は、前日にフラワーショップに注文した。母の日の花を注文したあのフラワーショップに、それからずっと通っていた。

異動があり違う支店に変わったが、他のフラワーショップに行く気にはなれなかった。

美羽に渡す花束は、赤いバラ三本の花束。

赤いバラの花言葉は『情熱・愛情』

三本の花言葉は『告白・愛しています』

バラの本数はかなり減ったけど、自分でも笑っちゃうくらいのストレートな気持ち。

それに濃赤のバラは、たとえ一本だけだとしても存在感を示す、気品と迫力があった。

その日は、できるだけ早く仕事を終わらせて、美羽に直接花束を届けようと思っていた。想いを告げるなら、美羽の顔を見て直接言いたい。

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