呼吸(いき)するように愛してる
そんな俺の決心をあざ笑うように、その日は、イレギュラーな事への対応に追われた。

何だ、これ!?今日は厄日か?

気が付けば、二十時十分前。あのフラワーショップの閉店時間が迫っていた。仕事を途中やめにして、花束を取りに向かった。

「遅くなって、すみません!!」

「いらっしゃいませ!…大丈夫ですよ!」

いつもと変わらない笑顔の店員、中田(なかた)さんが迎えてくれた。

いつも閉店に近い時間に駆け込む俺は、これまで彼女のアドバイスで花を選んでいた。

カウンターから出た中田さんが、花束を持ってきて渡してくれた。

「いつも、こんな時間にすみません!」

一度頭を下げて、花束を受け取る。

「お気になさらずに」

眉尻を下げて笑う中田さん。

「お世話になりました」

再び軽く頭を下げ、店を出ようとした時「あの!」と、中田さんに声をかけられた。

中田さんに向き直ったら、一度目を伏せた中田さんが、すぐに目線を上げ真っ直ぐに俺を見た。

「幸運を祈ってます!」

一瞬、軽く目を見開いたが、すぐに笑顔を浮かべた。

「ありがとう!」

お礼を言って、店を出た。

「ありがとうございました!」と言う中田さんの明るい声に、背中を押された。

花を取り扱うプロの彼女には、俺のやろうとしている事なんて、お見通しだよな。バラの花言葉を調べたきっかけも、この店で見たポップだ。

恥ずかしいけど……ずっと花のアドバイスをもらっていた彼女に、さらに勇気をもらったようだった。

職場に戻り、気合いを入れ直して仕事を始めた。

結局、いつもより遅い二十一時半を過ぎてから、仕事を終える事ができた。

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