呼吸(いき)するように愛してる
頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。…殴られた事はないけど、きっとこんな感じだろう。痛みはないけど……イヤ、胸が痛いな……心臓をギュッ!と掴まれたようで、うまく呼吸もできない。

男が動いて、美羽から少し離れた。俺は慌てて、自分家の植え込みの陰に隠れる。何か会話をしているようだが、内容まではわからない。

足音がして、男が美羽ん家の前に止めていた車に乗った。こっそり顔を動かして見てみれば……あれは美羽の同級生の島 広樹だろう。最近は顔を見ていないけど、小さい時の面影がある。

「……そう…だったんだ……」

溜め息の後、小さく呟く。

いつ頃からか顔を合わせれば、俺の事を睨んでくるようになった島。美羽への態度で、多分美羽の事が好きなんだろうと思った。美羽は、全然気付いていないけど。

美羽がいない時に、半分本気で島に声をかけた事がある。

「美羽は、よくからかわれるだろう?助けてやってくれよな!」

島に合わせて、しゃがんで目線を下げた俺を、島はやっぱり睨みつけてきた。

「そんな事、あんたに言われなくてもやってるし!」

「そうか。ありがとう!」

「美羽には、ぼっ…オレが!……オレとみちるがいるから、大丈夫だし!」

微笑んだ俺に、眉根を寄せて島は言いきった。

……そうか……島の想いが、届いたって事か……

美羽が高校生になった四年前も、今も。……俺はずっと、自惚れていたんだ。俺の想いを伝えれば、美羽はそれに応えてくれる。

幼い時に美羽が、俺に真っ直ぐに向けてくれた愛情も。遠く離れる時に、寂しいと流してくれた涙も。……変わらず、ずっとそこにあるのだと思い込んでいた……

「フッ……」

自嘲の笑みが浮かんだ。……さあ、この花束、どうする?今さら、美羽に渡すのも……とは思うが、俺が持って帰るのか?また違う誕生日プレゼントを、選びに行くのか?

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