呼吸(いき)するように愛してる
「仕事には行かない。美羽、とりあえず美羽ん家に行こう!」

「えっ!?うち?なんで?…てか、匠くん、朝ご飯は?」

「ごめん、朝ご飯は少し我慢して。フレンチトーストのおいしいお店に、連れていってあげるから!とりあえず、美羽ん家に行こう!」

「フレンチトースト!?…でも、うち!?」

混乱する美羽を、なかば引きずるようにして、隣の朝倉家へ向かった。

「ただいま~、おはよう!」

美羽と一緒にリビングに入ると、キッチンに苑子さん、リビングに貴之(たかゆき)さん(今さらですが、美羽の父です)がいた。

「おかえり~、おはよう!あらっ、匠くん!」

俺の存在に気付いた苑子さんは目を丸くして、貴之さんは無言で俺を見ている。

「おはようございます。朝早くから、突然すみません。美羽さんのお父さん、お母さん。少しお時間をいただけますでしょうか?」

背筋を伸ばして立ち、頭を九十度下げた。

「匠くん……?」

隣からは、美羽の不安げな声がした。

「わかった、話を聞こう。苑子、こっちに来て座って。匠くんと美羽は、そこに座りなさい」

貴之さんの落ち着いた声に、俺は頭を上げた。

一人がけのソファーにそれぞれ、貴之さんと苑子さんが座り、そのソファーの間にある二人がけのソファーに、美羽と並んで座った。

食事の世話になっている事を、改めてお礼を言った。そして今日、美羽に朝帰りをさせた事を詫びた。

「それは、匠くんだけが悪いんじゃなくって!」

大きな声を出した美羽を見て「大丈夫」と小さく頷いた。眉間にシワを寄せながらも、美羽は口を閉じた。

「最初に、美羽のお父さんとお母さんにご挨拶をするべきでした。すみません。まだ付き合い始めたばかりですが、将来の事をきちんと考えています。私の気持ちも、美羽さんの気持ちも決まっています」

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