呼吸(いき)するように愛してる
「将来の事って“結婚”て事よね?」

ずっと静かに聞いていた苑子さんが、身を乗り出すようにして言った。

「はい」

俺は大きく頷いた。

「匠くんも美羽も、結婚する気があるのよね?」

「はい」

「いつ?」

「えっ!?…まだ付き合い始めたばかりなので、そのうち……」

「そのうちって、一年後?三年後?…もっと先?」

「イヤ、まだ具体的には…美羽もまだ若いですし、社会に出たばかりですし……」

苑子さんの勢いに圧されながらも、なんとか言葉を繋ぐ。

「…やっぱり、美羽じゃまだまだ頼りないかしら?不器用な子だけど、少しずつ家事を教えてきて、美羽もがんばってるのよ。そうか、まだダメか……」

それまでの勢いが嘘のように、シュンと肩を落とした苑子さん。

「イヤ、そういう事じゃなくて!美羽にはすごく支えてもらってるし、もっと傍にいてほしいけど…段階みたいなもの、ちゃんと踏んだ方がいいのかなって……」

焦って、言葉遣いもいつも通りに戻ってしまった。

「匠くん。…出会って、お互いの事を、いい所も悪い所も知った。そして、それを含めて好きになった。もっと一緒にいたいと思った。……後、どんな段階を踏めば、君は納得する?」

貴之さんの言葉がジワリと胸に広がって、俺は何も言えなかった。

「匠くんが美羽の事を、大切にしてくれているのはよくわかっている。これまでも、ずっとそうだったしね。美羽は誰に似たのか、とても頑固だ。今さら、君への気持ちは変わらない。……君の気持ちが決まっているのなら……」

俺は貴之さんの目を見て、しっかりと頷いた。

「あまり形にこだわらず、美羽の想いを受け止めてやってください。お願いします!」

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