呼吸(いき)するように愛してる
貴之さんが頭を下げ、苑子さんもそれに合わせて頭を下げた。

「お二人とも、頭を上げてください!」

俺は慌てて声をかけた。隣の美羽を見ると、ウルウルとした瞳で俺を見ていた。俺が小さく頷くと、美羽が微笑んだ。

一瞬だけ目を閉じて、真っ直ぐに貴之さんと苑子さんを見た。

「本当は……今まで離れていた分、少しでも長く、美羽と一緒にいたいです。……結婚式や披露宴の事を考えると、準備が必要なので、どうしても時間がかかります」

フッと短く息を吐く。

「先に入籍だけでも済ませて、少しでも早く美羽と一緒に暮らしたいです。お願いします!」

俺が頭を下げると、美羽も「お願いします!」と言って頭を下げた。

「ありがとう、匠くん。美羽の事、これからもよろしく頼むよ」

貴之さんの穏やかな声に頭を上げた。

「よかったわね!美羽……」

苑子さんの目からは、今にも涙が溢れそうだった。

「ありがとうございます!」

「ありがとう!…お父さん、お母さん……」

俺達がすれ違って辛い気持ちを抱えていた間、二人は何も言わずに、見守っていてくれたのかもしれない……もしかしたら他にも、俺達の事を見守っていてくれた人達がいるのかもしれない……

「さあ!お腹空いたわね。朝ご飯にしましょう。匠くん達も、一緒にどう?」

苑子さんの誘いに、俺が口を開く前に美羽が首を振った。

「ダメー!これから、おいしいフレンチトースト、食べに行くんだから!」

「あら、いいわねフレンチトースト!…匠くん、朝でも昼でも夜でもいいから、また一緒にご飯を食べましょう!」

「はい!」

実は、フレンチトーストを食べに行くのは兄貴のいるカフェだ。準備中だが、朝ご飯をごちそうしてもらおう。

…入籍の事も、報告してしまおうか。父さんと母さんにも、連絡しなければ。

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