呼吸(いき)するように愛してる
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小学一年生の二月、バレンタインデー。

五才の年中組の時から、お母さんに手伝ってもらいながら、バレンタインデーにあげるチョコチップクッキーを手作りするようになった。

簡単なレシピを、お母さんが探してくれた。私のした作業なんて、マゼマゼとかコネコネぐらいだったけど……

それでも、オーブントースターから甘い香りが漂い、少し焦げ目のついたチョコチップクッキーを見た時は、すごく感動した。

翌年も、同じチョコチップクッキーを作った。去年よりも、一つ大きくなった私は、去年よりもたくさんの作業ができた。

年中さんの時には、チョコチップクッキーに、私の手形を押したカードを付けた。

年長さんになって、ひらがなも書けるようになったし!とはりきっていたら、お姉ちゃんが

「たくさんカードを書くのは、大変でしょ?お姉ちゃんが書いてあげるから!」

と言われた。大丈夫!と断ったのに、しつこく言うから仕方なくお願いした。

可愛くラッピングして、お姉ちゃんが書いてくれたカードを添えて……

……お姉ちゃん、私が書けたり読めたりするのは、確かにひらがなとカタカナだけだけど。自分の名前と、お姉ちゃんの名前の漢字くらい(もちろん匠くんのも!)、ちゃんと読めるんだよ。

何でカードの最後に『美音&美羽より』て書いてあるの?お姉ちゃん、カード書いただけだよね……?

お母さんと一緒に、お姉ちゃんを問い詰めたら、チッ!と舌打ちされた。

去年のホワイトデーに、私がお姉ちゃんよりもいい物をもらっていたから……お姉ちゃん、ズルいよ。

去年、お姉ちゃんがみんなにあげたのは、チ○ルチョコレート。

私、チ○ルチョコレートは大好き!

でも、笑顔で「義理で~す!」と言いながら、チョコを配っていたのはお姉ちゃんだよ。

私は、がんばって作ったもん!みんなに、私が一生懸命心を込めて作ったクッキー、食べてほしかったから。

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