呼吸(いき)するように愛してる
ヒロくんに、すごく驚かれて何だか照れくさかった。

「ありがとう」

みちるちゃんは、相変わらずクールだったけど。

「みんなで食べるね。弟達も、美羽ちゃんのクッキー大好きだから」

私とみちるちゃんは、顔を見合わせてクスッと笑った。去年も姉弟で食べてくれたと言ったから、みちるちゃんに渡したクッキーは、量を多くしてある。

午後七時過ぎ。

少し前に帰ってきたお父さんに、クッキーを渡した。すごく喜んで、私を抱き上げ『高い高い』をしてくれた。

「もう、お父さん!美羽は、赤ちゃんじゃないんだからねっ!」

プッ!と頬を膨らませて怒ったフリをしたが、実は、お父さんがしてくれる『高い高い』は小さな時から大好きだ。

「匠くん家に行ってくる!」

三人分のクッキーが入った袋を持って、玄関に急ぐ。

「これ、要くんに。お大事にって伝えて」

玄関先に出てきたお母さんに、りんごの入ったナイロン袋を渡される。

要お兄ちゃんは、昨日の夕方高熱を出した。高校受験をひかえた要お兄ちゃんの高熱に、みんな慌てた。

病院で診察を受けたら、インフルエンザではなかったし、今日にはもう熱も下がったようで、ホッとした。

「もうすぐ、ご飯だからね!」

「すぐに戻るから!」

そう叫びながら、玄関から飛び出した。

「さむっっ!!」

吐く息が白くなる。上着も着ずに、飛び出してきた事に、今気付く。

まっ、お隣だし、いっか……

雪こそは降っていないが、今日は、とても寒い日だった。

空には無数の星が瞬いていた。寒い日は、空気が透き通っているように感じる。そしてその分、星がきれいに見える…気がする。

一瞬、星空に見とれたが、寒さにブルッ!と身体が震え、匠くん家に急いだ。

< 41 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop