呼吸(いき)するように愛してる
匠くんの言葉にホッとして、嬉しくって、すぐに慌てて、スプーンを持つ右手で口を不完全に覆った。

「匠くん、美羽のお熱が移っちゃうよ?」

私の頭を撫でていた手を下ろし、さらに私の顔に、匠くんの顔を近付けてきた。

「美羽、口を押さえても今さらだよ。それに……美羽の可愛い風邪菌に負けるほど、僕は柔じゃない」

間近で見る匠くんに、ドキドキする。匠くん、何かよくわからない事を言っているけど、カッコいい!!…美羽、またお熱出そうだよ……

……でも……いつも言ってる「匠くん、大好き!」の言葉は、残っていたプリンと一緒に飲み込んだ──



*****



匠くんと一緒にプリンを食べた日の翌日、二日ぶりに小学校に登校した。

プリントを届けてくれたモモちゃんに、お礼を言って、みちるちゃんとヒロくんに「元気になったよ」と笑った。

「よかったな!」とヒロくんには、頭を撫でられた。

ヒロくんは時々、私に対して“お兄ちゃん”ぶった態度をとる。いつもは、みちるちゃんの弟みたいなくせに。

みちるちゃんは、ゆっくり頷いた。

みちるちゃんに、早く匠くんの事を話したかったけど、短い休憩時間に上手に話せる自信がなくて、放課後に話す事に決めていた。

四時間目まで授業が終わり、給食の準備を始めた時、私のおでこにみちるちゃんが、自分の掌を当てた。

「えっ!?どうしたの、みちるちゃん?」

「……熱くない。熱は出てないね。美羽ちゃん、どうして元気がないの?」

そう言ったみちるちゃんに、ジッと見つめられた。私は、いつも通りにしていたつもりだし、他の誰にも、何も言われていないのに……

みちるちゃんには、気付かれちゃった……恥ずかしいような、嬉しいような……

みちるちゃんには、内緒ができないな、と思った。

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