【完】好きなんだからしょうがないだろ?



「髪伸びたな?あの頃より、ずっと」



その、悩ましげな表情が曖昧に揺れる。


振り返った玲央があんまり儚げに呟くから、戦意喪失して、もう何も言えなくなってしまった。



「なあ、忘れられんのかよ?」


「当たり前でしょ……」



伏し目がちな表情が距離を詰めてくる。


そこに、いつものからかってるような口ぶりは微塵も感じられなくて。



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