【完】好きなんだからしょうがないだろ?
コーヒーが飲みたいと帝王が申されたので、慌てたあたしの頭には賄賂の割引券が過った。
莉子が、“二名様からよ!”と告げているような気もしたし。
その、莉子には振られたわけだったし……。
近くにいいお店がありますと絶賛したあたしに、“女の提案を断るのは苦手だ”と零しハンドルを握ったわけだ。
「この店は女のためだけに作れたようなもんだな」
深い溜め息をついた帝王はさぞご立腹です。
甘い匂いの立ち込める店内をぐるりと見渡しては、眉間の皴の深さが一層激しくなる。
「しかも、砂糖みてぇな名前の店だしよ」
「シュガーマカロンです……っ、ヒッ。すみませんっ!!」