【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「あっ、あたしは、その。もう、過去の出来事ですが、許せない人がいて……」
「男か?」
轟先輩は、直球でそうぶつかってくる。
なんであたしの“忘れたいこと”……なんて言葉に興味を持ったのかはわからないけど。
「話したくないなら無理するな。悪い。アンタの過去に土足で入るつもりじゃねぇんだ」
「っ、轟先輩。そんな……っ、でも、どうしてあたしなんかの話を……?」
まるで接点のない人間の話を聞きたいと思うものなのかな?
それに、思い出したくもない出来事を簡単に話せるほど傷は癒えていなくて……。
「アンタの話だけを聞くのはフェアじゃねぇな」
「え……?」