妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~

突然のことで目を閉じることも出来ず、ただ近づいてくる高宮の顔がスローモーションのように流れて、数秒重なったその唇が離れていくまで目が離せなかった。

「固まってんなよ」

後ろから囲いこまれるような体勢は変わらないままに、私の右肩に高宮の額が乗る。
コツンと合わされたそこから又一気に熱が上がる。

「なぁ。今日誰に会いに行くんだった?
誰に会いたかったんだよ」

相変わらず肩に頭を乗せたまま、私の問いには1度も答えず不機嫌そうにつぶやく。

「へっ?あぁ…姉のところ」

色々言いたいこともあるけれど、頭がまったく働かないまま答える。

「おい。嘘つくなよ」

「なんで嘘つかなきゃいけないのよ」

「じゃあなんで会いたいとか姉さんに言うんだよ。おまえここ半年くらい月始めは、用があるとかで絶対断ってきてたじゃねえか」

「なによそれ。でもそんな断ってばっかじゃなかったじゃない。月始め以外は行ってたでしょ?」

ってゆうか、高宮の髪が頬に当たってこそばゆくて身を捩る。

「だから、なんで月始めは駄目なんだよ。男でも出来たんじゃないかって、噂になってんぞ。しかも携帯みてニヤニヤしてんじゃねぇか、知ってんだぞ。こら、動くなよ。」

「はぁ?なんでそんな話になってんのよ。ねぇ。髪、顔に当たってこそぐったい。いい加減離れてよ。何?本当どうしたの?」

ポツリポツリと話してるうちに気持ちも落ち着いてきた。
相変わらず心臓は煩いけど、冷静に今の状況を判断しなくては。


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