〜後悔〜壮絶なDV体験ーDVの心理〜逃げなきゃだめだよ!





今日もまた元気が無い輝は何か言いたそうな顔をしていた。





近頃、人生について ずっと何かを真剣に思い悩んでいる輝のことが気になって仕方なかった。




孝明『お疲れさまです。今日はなにしてるの?輝くんとは仲直りしたかい?

前言ってたとこ。うちの会社の近くに新しく居酒屋できたっていってたじゃん。みんなで行ってみない?』


そう連絡があった。


人見知りの激しい輝が、やっと少し孝明に慣れてくれたことを嬉しくおもい安心していた。

そっと見守る孝明の輝に対する気持ちを感じていた優美は
お兄さんを弟に取られるような寂しさを抑えていた。



昼過ぎに、突然音も立てずに孝明が入口に立っている。


いつも孝明は気配もなくなく突然現れる。

リフォーム会社をしている孝明だが仕事の合間にいつも突然現れたりする。


子供みたいなイタズラをするのが好きみたいだ。


優美『孝ちゃん、あれ?またぁ。気配なく表れる!ビックリするじゃん!』


孝明と出会って半年が経ち、人間に懐かない輝も孝明が突然現れた瞬間にパッと心から嬉しく明るい表情になるのを感じるようになった。



優美『輝ちゃん最近、孝ちゃんがくる度にすごい嬉しそうだよね。前はあんな嫌ってたのに。』

輝『ほら、孝明さんて頭もいいし頭もキレて賢いし硬派でかっこいいじゃん。

話も面白いから気分転換になるしさ!』




心の中を読まれて恥ずかしかったのか、ちょっと必死感が伝わってきて可愛くおもった。

優美は他人にあまり興味を示さない輝の心が日に日に変化しているのを感じている。


優美『わかるわかる!そうだよね!孝ちゃん不思議な人だね~!』



孝明と輝はとても仲良くなり、お互いのことがよっぽと好きなんだろうという雰囲気を痛い程感じていた優美は仲間外れになったような気がして寂しくおもっていた。


孝明にからかわれて怒っている優美をみて孝明と輝が笑っている光景が日常になった。

優美『孝ちゃん、そう言えばこの前は会社のメモ帳に輝と私の似顔絵書いてったでしょ?いつのまに⁉』


孝明『書いた書いた!似てるでしょ?』


隣で輝が腹を抱えて笑っている。


輝『そう〜。これみたとき笑とまらなかった。』


そうこうしているうちに


いつの間にか静かに隣で何か作成している。

孝明『ほい!できた。』

会社にあった紙とマッキーで作成たリアルなゴキブリが飛んできた。


優美『ぎゃーーーーー!!!!』


ゴキブリをGと呼び、孝明と輝からのG嫌がらせの仕打ちをされ優美は怒り.泣きながら逃げ惑ってしばらく機嫌が悪かった。



孝明は優美をいじるニックネームをパンツと呼んでいる。




孝明『早めに切り上げてそろそろいこうか?ほら早くいくよ、ぱんつ!』


また隣で輝が笑っている。

まだ優美は少し心の中でムッとしている。



待ち合わせ場所に集合した三人は、新しくできた居酒屋に向かった。


居酒屋の扉をあけると、そこには若い男性店員と女性定員が『いらっしゃいませ』と挨拶した。

よくみると顔がそっくり。
兄妹だろう。


小上がりとカウンターで二十人ほどの小さな居酒屋だ。


扉をあけると店長が元気よく挨拶をした。

店長『いらっしゃいませ!ようこそ!どうぞ、どうぞこちらへ!』


店内にはまだ客はおらず、孝明達三人がその日最初のお客だった。


店長は、元気よく挨拶をし気さくに話しかけてきた。丁寧な心配りと心地よい会話に孝明達三人は好印象をもった。


年齢も同年代で、話も合いすぐ仲良くなった。


名刺交換や自己紹介も終わり、孝明に進められ店長も女性従業員も一緒に飲み物をのみながら会話を楽しんだ。


店長を雄大(ゆうだい)さん、女性従業員を真帆(まほ)ちゃんとよんだ。


輝の名刺をもって
雄大『是非、輝さんにお願いしたいです。いいですか?』

さっそく仕事の依頼だ。


輝『あっ‥!すいませんその日は別の用事があって‥‥。あ、優ちゃんは?』

優美が隣にいると案の定だいたいは輝は断る。


ギチギチの真面目な人柄と雰囲気の印象の雄大には嫌な印象は無く、安心していたが雄大の気を使い過ぎる性格や上辺っぽく無理をしている感じが優美は少し苦手だった。


これだけ会話が盛り上がっていても、優美と雄大はその時殆ど話すことも目を合わせる事もなかった。

この空気で断りづらいのもあったが、孝明達と仲良くなり気に入られている好印象でガチガチに真面目すぎる堅苦しい雰囲気には安心し、全く不快な印象はなかった。


優美『男性の依頼はは全て輝さんにお任せしているのですが‥。輝さんは優秀ですし、その分野は私より得意です。せっかくですし、是非輝さんに担当していただほうがいいのかと。』

優美は孝明と輝以外の人間には仕事の顔になってしまう。

いつも孝明と輝はそれを からかった。


雄大は気を使い、
雄大『いえ、僕は輝さんでも優美さんでもどちらでもご都合が宜しいかたで全然かまいません!!』


輝『ほら、雄大さんもせっかくそう言ってくれてるし優ちゃんその日大丈夫なら、優ちゃんでいいんじゃない?』


なんてことを言ってくれるんだ。
輝に依頼したのに、輝押しの雄大さんの依頼を押し付けられたように感じながら
この流れで断れば優美も輝の印象まで悪くなるに違いない。



目も一切合わさずに、避けられているように感じていた優美は気まずい気持ちを抑えながら精一杯隠した。


優美『私でよろしければ、来週のそのお時間にお伺いします。』



優美は気が重かった。

一度しか顔を合わせた事がない男性というのも、雄大とはなにを話したら良いのかも、そんな時いつも対応は輝もフォローしてくれていた。


何故かその時はじめて

ずっと輝と組んできて

輝を頼ってきた部分に優美は改めて気づいた。

『ううん、頼られていたほうが輝にとっては良かったにちがいない。』


そんな言い訳で優美はこころの中を埋めた。





そうこうしているうちにまた孝明の悪い癖がでた。



なんと 先ほど作成したGをポケットに忍ばせてきたようだ。


孝明『ちょっと、そこの座布団めくってみて。』

シレッと いつものようにイタズラをする顔になった孝明に輝も笑をこらえて、更にそうな表情になる。


始まった。


今度は孝明と輝はと真帆の三人でGでの悪ふざけが始まった。


優美は訳のわからない奇声をあげいつものように泣きべそをかきそうになりながら情けない声を発し逃げ惑う。


作成されたGでも駄目なものは駄目だ。


他にお客がいないとはいえ、大の大人が飲食店の中でGで遊んでいる光景に雄大の表情は固まっていた。




嫌がらせや意地悪をしてはいけないという、厳しいルールの元で育った優美にとってはそれは理解のできない遊びだった。


心の底では、そんな下品な遊びをするなんてと思いながらいつも少し嫌なきもちを抑えている。



孝明と輝が少しでも下ネタをはなしはじめると、怒って黙り込む。



言葉に出して嫌われるのが怖かった。



更にお会計のお札の間にGを挟んで


孝明『はい、雄ちゃんに渡して』


真帆からそれを受け取った雄大の顔は当然また固まった。




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