ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~
 三津谷さんのお父さんが出ていったのは、絶対に三津谷さんのせいじゃない。

 でも人は、どうにもできないつらいことや、悲しいことが起きてしまったとき、その理由を求めてしまう。

 三津谷さんは口では父親を信じているといいながら、本当は心の奥では理解していたんだろう。

 待てど暮らせど、もう父親は帰ってこないのだと。

 そしてそれは自分のせいだと、密かに自分を責めていた。

 きっと自分に、父親を引き留めるだけの価値がなかったせいだと。

 そう思い込んでしまうほど三津谷さんはつらかったから、そのつらさを真正面から受け止めることなんて、できなかった……。

「認めるべきだったんだ。二度と父親は戻ってこないって。クソ親父のばかやろうって、ひと言叫べばよかっただけなのに」

 認めるのが嫌で、偽物の笑顔で本当の気持ちから目を逸らしていた。

 事実が怖かった。弱みを見せたくなかった。

 たったひとりの親友だからこそ、親に捨てられて泣いている惨めで無価値な自分の姿を晒したくなかった。

『信じてる、いつかきっと帰ってくる』

 本気で思ってもいない言葉を並べ立てて、信じることができる強い自分を演じて、虚勢を張っていた。
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