「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

21.突然の速報



11月文化祭。


それ以降も私たちはバンドの練習を続けながら高校生活を満喫していた。
12月に入って期末テストも終わり冬休みを待つだけになった二学期。


だけどこの冬、昔からのAnsyalファンは、いつもと違う冬を迎えようとしていた。


毎年、必ず行われていたAnsyalと過ごすクリスマスLIVE。


結成記念も兼ねたAnsyalにとっての、
毎年恒例のクリスマスホールで行われるLIVEの発表が行われなかった。



直前のシークレット発表。


Ansyalが一番最初に演奏したLIVEハウスでの、
シークレットLIVEがあるなんて噂は飛びかったけれど、
二学期終業式になってもAnsyalのオフィシャルからは一切、そう言った発表はなかった。


終業式の12月22日。
冬休みは絶対に寮から帰宅しなければいけない。


幸いにも23日からの帰宅で良かったので私たちは23日、
紗雪たちと一緒にクリスタルホールへと向かった。



大きな団扇を持って盛り上がってる集団の中、
Ansyalのコスプレ衣装に身を包んだAnsyalファンたちが会場内の一角にたむろっている。


この日のクリスタルホールでは、別のアイドルのコンサートが行われる。
その中での異色の私たち。



「おはようございます。貴姫さま」



輪の中心にいるのは紗雪ちゃんがお世話になってる前に逢ったことのある、チームの総長さん。


「おはよう、雪夜【ゆきや】。
 それに里桜奈ちゃんだったかしら?

 久しぶりね。Ansyalネームは決まった?」



そう言って声をかけてくださるのは貴姫さま。
今更だけど雪夜って言うのが十夜ファンの紗雪のAnsyalネーム。


私にとって紗雪は紗雪だから何時でも紗雪って呼んでしまう。
友達になれたその日から。



紗雪は羽織っていたコートを脱いで鞄の中に入っていた羽を取り出すと、
その場で広げて背負っていく。


紗雪の十夜コスの完成。




「うわぁ、改めて現場来てみると本当にショック。
 今年は本当にないんだ。
 23日・24日とアイドルのコンサートに予定がなってたのは、
 クリスタルホールの日程で知ってたけど……Ansyalの日だったのに。

 けど、25日が今は空白だよね。
 まだ望みあるかな?」


そう言いながら姿を見せたのは都葵さん。


アイドルのファンたちが会場内をグルグル取り囲む一角、
コスプレ姿のAnsyalファンたちが集まってお互いのチーム交流を兼ねた写真撮影タイム。



その後はカラオケボックスへと場所を変えていく。



カラオケボックスの一番大きな部屋を抑えて3時間のカラオケタイム。


AnsyalのLiveのように過去のLIVEのセットリストを順番に辿りながら
予約していく。


次々と流れるカラオケをバックに皆が歌って踊って頭を振って、
本人出演や過去のLIVE映像が流れるカラオケ映像の時にはLIVEの時さながらにメンバーコールを叫んで。

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