「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

凄く楽しい時間になった。


今の私にはAnsyalが繋げてくれた仲間がいる。
私は独りじゃないって、そうやって実感させてくれる瞬間。


凄く凄く大切な宝物が私の中で光った。
温かい気持ちを抱きながら5月のGWぶりに実家へと帰省する。


正直、実家に帰るのは今も抵抗があるし私の過去を知ってる人に会うのは怖い。

故郷に近くなればなるほど心は苦しくなっていくけど、
だれど……今回はちゃんと帰る。


ずっと逃げたままでは何も変わらないから。
新しい家族関係での修復。



ちゃんと考えていかなきゃいけないから。



そんなことを考えながら私は実家のドアを潜った。



「お帰りなさい、終業式は昨日だったでしょ?
 帰り遅かったわね」


出迎えたお母さんの一言にすでに体が委縮しそうになってる。


「ただいま。
 友達と一緒にお茶して帰ってきたの。

 遅くなってごめんなさい」


「お茶でもなんでもいいけど、また文化祭の時みたいに音楽やってるんじゃないでしょうね。

 あんな楽器練習する暇があったら、ずっと昔からお稽古させてきたピアノを頑張りなさい。

 今日は里桜奈が帰ってくるから、お父さんも早く帰ってくるっていってたからもうすぐご飯よ。
 荷物置いて降りてきなさい」



促されるままに階段をのぼって二階へと向かう。



「何、冬休みは帰ってきたんだ。
 もう帰ってこないのかと思ってた」


二階へと階段を上がる最中に急にドアが開いて姿を見せたのは妹の美桜。
久しぶりに再会した妹は、うんざりした表情で私に声をかけた。


心にチクリと痛みが走る。




「ただいま」

「まぁ帰ってくるのはいいけど、
 私の部屋には入らないでよ」



そう言って美桜は再び、私を拒絶するように部屋の扉を閉じた。

私が寮に入った途端に、知らない間に部屋交換されていた今の私の部屋。

前の部屋に比べると狭くなってしまった思い入れのない部屋。


GWぶりにその場所に足を踏み込んで荷物を置くと、
うっすらと被った埃を指先で拭って溜息をついた。

掃除機を押入れから取り出して軽く部屋の片づけをして一階へと降りる。



大丈夫。
私はまだ頑張れる。


明日になったら楓我さんと逢える。
今日はAnsyalの仲間たちにもあって沢山楽しい時間を過ごせた。
< 91 / 125 >

この作品をシェア

pagetop