強引上司がいきなり婚約者!?

8月も下旬になり夏の盛りを過ぎたオフィスにも、冷房はガンガンにかかっている。

向かい側のデスクでは既に出社していた同期の藤真 好実(ふじま このみ)が、コーヒーを飲みながらパソコンを立ち上げているところだった。


「おはよう、好実」

「んー、おはよ」


好実は同い年の25歳で、営業を担当している。

スラッとした高身長に黒いショートボブがよく似合う、ハッと目を引くような美人さんだ。
鼻筋が通っていてまつ毛も長くて、ぼんやりした薄い顔の私とは正反対で羨ましい。


「ね、志帆。週末なんかあったでしょ」

「えっ」


自分のデスクの前に立ったままボーッと好実を見つめていると、視線だけ上げた彼女に鋭く問われた。


「ちょっと雰囲気違うし」


私は動揺して、慌てて目を逸らす。
言っていることは蒼井さんと同じだけど、彼女が指摘しているのは見た目のことじゃない。

好実って、こんなに勘が良かったっけ。

藤也とのことを話したくないわけではないものの、家事が苦手なのを理由にあんなフラれ方をしたなんて、今ここでは話せない。

好実にはあとでゆっくり聞いて欲しいし。


「別に、大したことじゃないよ」


私はその場を適当に濁し、サッと自分の席についた。
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