強引上司がいきなり婚約者!?
彼は普段ほとんどアシスタントをつけることがなくて、それでも契約数は社内ナンバーワンだから、本当に頭のいい人なんだと思う。
(最初の頃は丹尾部長も「アシスタントをつけなさい」って言ってたけど、女子社員の間で争いが起こる上に、有無を言わせない実力があるので近頃はスルー)
でもだからって、まわりも自分と同じレベルでお仕事ができると思われるとこちらは大変だ。
じっくり勉強をして慎重に試験に挑み、なるべくミスを減らすタイプの学生だった私は、抜き打ちテストには滅法弱かった。
準備のないことには、どうしても焦っちゃう。
だからマニュアルから外れたくない。
どんなトラブルにも冷静に対応できちゃう兎川さんとは正反対。
こんな事なかれ主義の私を、彼はなんで突然アシスタントに指名したのかな。
これも秘密の婚約者の役割?
絶対、兎川さんと私は相性がよくないと思うのに。
私は冷や汗をかきながら兎川さんに続いてエレベーターに乗り込み、彼が作成した資料に目を通す。
これから来社する金森(かなもり)さんは、まだ小さいお子さんがふたりいる4人家族で、新しい家を建てる土地を探している段階みたいだ。
他社をまわったり自分たちでいろいろ調べてはいるのもの、条件に合うところが見つからなくて、知り合いの紹介を受けて朝比奈ホームへ相談したとのこと。